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県大会報告「熊本地震に教師と高校生はどう対応したか(その2)」 [例会報告]

 震災発生直後、寮生を避難させていた高校教員の中田浩さん(仮名)さんは、「余震がある中、勝手に寮に入っていく(部屋にモノをとるために)生徒たちの危機管理をどう指導するか」で、自分はコワモテの生徒たちにビシッと言うことを聞かせるタイプではないから、と悩まれていた。
 
 けれども一方で、「近く(2,3Km)の大型ショッピングモールが燃えている!」というSNS上の情報(その後デマであることが判明)に沸き立ち落ち着かない生徒たちに「煙がここまで来るの?」「あなたの家族がそこにいるの?」と冷静に応答し、いま何を考え、行動しなくてはならないか、大事なことは目の前にあることを生徒たちに伝えている。大変緊迫した中での優れた応答場面だと感じた。

 では危機管理の点は・・・。そもそも管理とは、生徒の命や権利を守るために初めて許される行為なはず。「ビシッと言うことを聞かせるタイプ」がいい場合(教師にとって?)もあるかもしれないが、そうとも限らない。
 例えば東北地方に伝わる「津波てんでんこ」(津波の時は周りにかまわず各自が自分の命を第一にてんでバラバラに逃げること)の教えは、管理もへったくれもない。管理することとは真逆の発想であり、そこには先人たちの経験からくる知恵や、人間と自然の関係をとらえる哲学まで垣間見える。
 
 また「ビシッと・・・」の環境では集団がより良くなっていくための生命線ともいうべき「異議申し立て」が出にくいという欠点もある。ではどうしたらよかったか。
 
 「余震のある中勝手に寮に入っていく生徒たち」の要求はなんら反社会的なものではなく、「まっとうな異議申し立て」という見立てができれば、例えば、全寮生に「それでも各自が勝手に部屋に戻るというのはあなた達の命を預かっている身としてはどうしても見逃せない」ことを伝え、「必要なモノを取りに行きたい生徒は、決まった時間帯に教員立会いの下でその時間に取りに行くこと。その場合一人ではなく数名で入ること」などの合意を図ればよかったのではないか。
 
 「その間に大地震が来たら大きな責任問題に・・・」の心配の声が聞こえてきそうだが、いやいや放っておいたら「不特定の生徒が勝手に好きなときに」の状態なのだから、そのずさんさと比べたら・・・。

タグ:熊本地震
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