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3月例会「授業開き・学級開きのノウハウ(1)」 [例会報告]

1.「私の授業開き~楽しいが一番のポイント~」(簑田 正一さん)
 
定年退職後もさまざまな学校で教壇に立っておられる簑田さんの報告です。

現在、「広域通信制高校」と「看護専門学校」と「リハビリ専門学校」の3校で生物(学)の授業・講義を行われているとのことで、特に「広域~」のK校を中心に話を進められました。

K校は受験産業が経営母体の株式会社立高等学校からスタートし、今年度から学校法人になったそうです。
不登校や中退を経験した生徒が入学(編入学)してレポートやスクーリングを経て、テストをクリアーすれば単位を修得できます。簑田さんは1年生で「科学と人間生活」、2年生で「生物基礎」を担当され、各々の教科書を4時間(50分×4)で終わるという超ハードスケジュールに直面されました。

最初の授業の際、これまでやってきたように「これは何でしょうか?どういう意味があるのでしょう?さあみんなで相談して」といったような発問と話し合い中心の"考えさせる授業"を披露するはずが、全く通用しなかったそうです。
「話し合えと言われても、年間数時間しか授業を受けない生徒同士の関係性の希薄さ(それも1時間目)を理解しておらず、準備していったすべてが白紙になりました」と簑田さんは述べられました。

その後は、心機一転、「(教科書を終わらせるためには)忙しいけれど、生徒にとって面白い授業(分野・教材)を心がける」ことに専念され、生徒たちの心を少しずつつかんでいかれました。

例えば、「科学と人間生活」の授業開きプリントでは、課題1として「ニワトリの絵を描いて下さい」、2として「サカナの絵を描いて下さい」、3として「授業者からの質問に答えて下さい」の三つの発問が投げかけられました。

1、2では、生徒たちの絵を見ると「ニワトリの足の数」(4本?)や「どこから捉えているか」(地面から見ている図)など多彩な答えがありますが「いろいろあって当然。むしろ個性があって良い」とまとめられるそうです(多様性の尊重)。

3は生徒集団により内容を変えますが、一番多いのが「なぜ、サカナを書くときに左向きか?」という発問です。
これは、今まで教えてこられた公立高校では正解が生徒から出ることはほとんどなかったそうですが、K校では一発で正答が出ました(これはこの文章の最後に掲載します)。「通信制高校の生徒の方が発想が自由なような気がします」とは簑田さんの弁です。

その他、「教科の中身より、生き方を語る方が生徒がイキイキする」や「生徒たちの興味をつかむことが重要。
例えば生物分野で言えば、生殖と遺伝」、「養護(支援)学校での経験が私にとって大きかった。
"型からはずれる"ことの大事さを初めて実感した」や「生物学でいう"多様性と共通性"の真の意味は、"いろんな人から学び共有する"ことだと気づいた」などのことばに感銘を受けました。

そして、レジメの最後の「たった一人の授業でなのに、なかなか集中してくれないMさん。仕方なく冬なのに南阿蘇の山の中腹で花を探すことに。しかし全く見つからず。探し回ったあげく、やっと見つけた花を前に2人で声を出して喜んだ。Mさんには予定していた学習はできなかったが、真剣に冬山で花を探し回った時間は、最高の"理科"の授業だったと思う」という主旨の文章に、簑田さんが考えている学習の本質があらわれていると感じました。

※「幼い頃からの図鑑等を見ての"刷り込み"。ほとんどの図鑑ではサカナは頭部が左向きに書いてある」 (ただし簑田さん曰く「現在はいろんな向きの図鑑もある」とのことです。)

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